グラフDBかベクトルDBか - タスクに合わせて何を選ぶ?
グラフデータベースとベクトルデータベースは、どちらも AI や検索の近くに登場しやすい一方で、解く問題のクラスが異なります。グラフはエンティティと関係を持ちます。誰が誰とつながっているか、どの経路が短いか、どのノードがコミュニティを形成するか。ベクトルストアは埋め込みを保持し、意味の近い断片を探します。2026 年に型を誤ると高くつきます。弱い retrieval、余分なインフラ、パイプラインの作り直しです。
- グラフDB - 関係、経路、依存、ナレッジグラフ、不正検知 / グラフベース推薦
- ベクトルDB - セマンティック検索、RAG、類似ドキュメント、画像、コード
- 互換ではない - グラフは ANN 検索の代替にならない。ベクトルは辺の走査の代替にならない
- ハイブリッド - 多くの場合が最良解。構造はグラフ、意味はベクトル
- 選択 - システムが安定して答えるべき問いに従う
データモデル上の違い
グラフデータベース(Neo4j、Amazon Neptune、Memgraph、JanusGraph など)は世界をノードとエッジでモデル化します。典型的なクエリは「この人物と最大 N ホップでつながる会社をすべて探せ」や「サプライヤ X までのサプライチェーンを示せ」です。
ベクトルデータベース(Qdrant、Pinecone、Chroma、Weaviate、pgvector など)は dense ベクトルを保持し、「cosine / Euclidean で Top-K の最近傍を探せ」に答えます。テキスト、画像、コード断片は embedding になり、正確な単語一致より意味が重要です。
要約:
| グラフDB | ベクトルDB | |
|---|---|---|
| 単位 | ノード + 関係 | ベクトル + メタデータ |
| 強み | 構造と経路 | 意味による類似 |
| 典型クエリ | Traversal、pattern match | ANN / similarity search |
| 弱み | 「テキスト類似」検索が弱い | マルチホップ関係が弱い |
グラフDBが必要なとき
価値がドキュメント内容だけでなく関係にあるなら、グラフを選びます。
- 製品ナレッジグラフ、組織図、マスタデータ;
- 不正検知: 口座・端末・住所の連鎖;
- 「X を買った人も Z 経由で Y とつながる」ような推薦;
- コード、インフラ、サプライチェーン、権限の依存;
- 「何ホップか」「共通の近傍は何か」という問い。
グラフが合う兆候:
- ブリーフに「関係」「連鎖」「依存」「経路」「コミュニティ」がよく出る。
- id の一回 lookup や苦痛のない SQL JOIN では答えが出ない。
- データが平坦な文書テーブルではなく、自然にネットワークに見える。
PDF と wiki のチャットが目的なら、流行だからという理由でグラフを選ばないでください。RAG では、グラフ単体ではセマンティック検索になりません。
ベクトルDBが必要なとき
価値が意味的類似にあるなら、ベクトルを選びます。
- ドキュメント、契約、チケット、ナレッジベースの RAG;
- カタログ、コード、ログ、メディアのセマンティック検索;
- テキスト/画像による重複排除と類似エンティティ検索;
- コンテンツ embedding に基づく推薦;
- 取得コンテキストから LLM が答えるアシスタント。
ベクトルDBが合う兆候:
- ユーザーが自由に問い合わせ、正確な用語を知らない。
- 数百ミリ秒で関連チャンクの Top-K が必要。
- 品質は関係スキーマより、チャンク分割と embedding モデルに強く依存する。
正確な関係とマルチホップ走査が重要なときは、グラフをベクトルで置き換えないでください。「似ている」ノードと「つながっている」ノードは別物です。
よくある選定ミス
ミス 1: 「全部ベクトルでやる」。
「社員 → 部門 → プロジェクト → 顧客」のような関係は embedding だと脆くなります。モデルは近さを推測しますが、経路は保証しません。
ミス 2: 「文書をグラフに入れれば検索が賢くなる」。
embedding なしでは、グラフは構造的な問いには強い一方、「SLA に似た段落を探せ」には弱いです。
ミス 3: 問いを固める前にエンジンを選ぶ。
まず実ユーザーの問いを 10-20 個書き出します。多くがテキストの意味ならベクトルから。多くが関係と経路ならグラフから始めます。
ミス 4: メタデータとフィルタを無視する。
グラフもベクトルストアも tenant、言語、日付、エンティティ種別が必要です。ないと「意味は正しいがアクセス範囲が違う」検索になります。
ハイブリッド: 両方必要なとき
2026 年、成熟したシステムはしばしば両方を組み合わせます。
- ベクトル retrieval が意味で候補を探す。
- グラフ が文脈を精緻化する。関連エンティティ、ポリシー、依存、許可された経路。
- LLM はテキスト断片と、グラフ由来の構造化事実の両方を受け取る。
典型的なハイブリッドシナリオ:
- エンタープライズ RAG + ナレッジグラフ(GraphRAG 的アプローチ);
- 類似インシデント検索 + サービス依存グラフ;
- 推薦: コンテンツ embedding + ユーザー相互作用グラフ;
- コンプライアンス: 文書のセマンティック検索 + 権限・ロールグラフ。
ハイブリッドは構築も運用も高くつきます。片方の DB 型が重要問いの 20-30% を安定して落とせないときに正当化されます。
実務の選定フレーム
次の 4 問に答えてください。
| 問い | 「はい」が多い場合 | 初期選択 |
|---|---|---|
| 経路、ホップ、pattern matching が必要か? | はい | グラフDB |
| 「意味で似ている」検索が必要か? | はい | ベクトルDB |
| エンティティ間に硬い関係があるか? | はい | グラフ(またはグラフ + SQL) |
| 主 UX は非構造化テキストのチャット/検索か? | はい | ベクトル(+ SQL/メタデータ) |
短いルール:
- 文書と自由言語 - ベクトルDB。
- エンティティ網と経路 - グラフDB。
- 一つの製品で両方 - ハイブリッド。ただし初日ではなく、まず主クラスの問いをカバーする。
- 確信がない - パイロット: 50 問で hit-rate / 経路正しさ、コスト、latency を測る。
多くの SMB では最初は PostgreSQL + pgvector で足り、関係が製品レイヤになったときだけ別グラフを足します。高負荷 RAG では専用ベクトルストアを選ぶことが多いです。不正検知と複雑な関係にはグラフエンジンです。
まとめ
グラフDBとベクトルDBは同じニッチのライバルではなく、異なる道具です。 グラフは構造の問いに答えます。ベクトルは意味の問いに答えます。タスクに合わせた選択は、システムが確実にカバーすべき問いの定義から始まります。
セマンティック検索と RAG が必要ならベクトルDB。関係、経路、依存が重要ならグラフ。両方なら「念のため」ではなく意図的にハイブリッドを設計してください。スタック選定や現行検索の監査が必要なら、ご連絡ください。
よくある質問
ベクトルDBでグラフDBを置き換えられますか?
通常はいいえ。 ベクトルは類似テキストやオブジェクト検索には強い一方、正確なマルチホップ関係は保証しません。不正検知、組織構造、サービス依存、硬いエッジのナレッジグラフには、グラフか少なくとも関係モデルが必要です。
グラフDBだけで RAG はできますか?
唯一の retrieval 層としては弱いです。 グラフは構造化事実と関係走査に役立ちますが、自由質問のセマンティック検索にはほぼ常に embedding が必要です。実務の GraphRAG はグラフ + ベクトルであり、「Qdrant の代わりに Neo4j」ではありません。
関係もセマンティック検索も必要なら、どこから始めますか?
支配的な問いのクラスから。 クエリの 70% が「似た文書/回答を探せ」なら、まずベクトルストアとメタデータ。70% が「連鎖と依存を見せろ」なら、まずグラフ。パイロットが第二種の穴にぶつかったらハイブリッドを足します。
Neo4j と Qdrant - 企業ナレッジベースにはどちらが近いですか?
シナリオ次第です。 FAQ や規程検索は Qdrant/ベクトル側に近いです。プロセス図、ロール、システムとそのリンクは Neo4j/グラフ側に近いです。多くの KB は両層が必要です。テキストはベクトル、企業モデルはグラフです。
グラフDBとベクトルDBを分けず、PostgreSQL で足りますか?
初期は - しばしば足ります。 pgvector は中程度のセマンティック検索をカバーし、関係はテーブルと再帰 CTE に置けます。専用エンジンは、量の増加、複雑な traversal、厳しい ANN SLA、あるいはグラフ/ベクトルが補助機能ではなく製品の中核になったときに正当化されます。