Make とは
Make は、かつて Integromat として知られたクラウド型のビジュアル自動化プラットフォームです。モジュールでシナリオを組み立てます。Gmail、CRM、webhook からデータが入り、フィルタと分岐を経て Slack、Google Sheets、Notion などへ流れます。以下では、このツールの概要、仕組み、Zapier や n8n との違いを説明します。
どんなプロジェクトか
Make(2022 年以前は Integromat)は、2012 年にチェコで設立された SaaS の no-code/low-code 自動化プラットフォームです。2020 年に Celonis が買収し、2022 年に Make に改名してリブランドしました。現在は Zapier の主要な競合の一つで、1000 以上のアプリ、数百万のシナリオ、複雑なデータルーティングに強みがあります。
Make の考え方は n8n や Zapier に近いですが、実装は独自です。「zap」や「workflow」の代わりに シナリオ - モジュールのグラフがあります。各モジュールは 1 アクション:行の読み取り、HTTP 送信、JSON 変換、フローの分岐。モジュール間の接続でデータの流れが視覚化され、エディタはフローチャートに似ています。
Make はクラウドのみ - self-host 版はありません。DevOps がないチームには利点、自サーバーでデータを完全管理したい場合には欠点です。
シナリオの構成
Make のシナリオは次で構成されます:
- Trigger - 入口:webhook、スケジュール、新着メール、Airtable/Stripe のイベントなど
- Modules - 処理:フィルタ、ルーター(Router)、イテレータ(Iterator)、アグリゲータ(Aggregator)、HTTP、JSON パーサ
- Connections - モジュール間の線。bundles - 名前付きフィールドのデータパケットを運ぶ
Make のデータは bundles で、n8n の items 配列ではありません。各モジュールは 1 つ以上の bundle を受け取り、処理して次へ渡します。バッチには Iterator - 配列を要素ごとに分け、それぞれ別ブランチで実行します。
式とフィールドマッピングはビジュアル UI で行います。前モジュールのフィールドをクリックして次に挿入。複雑なロジックには組み込み functions(スプレッドシート関数に近い)と JSON モジュールがあり、別コードなしで構造を組み立てられます。
Router は Make の強み:1 つのデータストリームを条件で複数ブランチに分け、trigger を複製しません。Filter は高コスト API の前に不要な bundle を除外 - 操作課金では重要です。
主な機能
連携
1000 以上の既製アプリ:Google Workspace、Slack、Notion、HubSpot、Shopify、Stripe、Telegram、Airtable、OpenAI、Anthropic など。コネクタがなければ HTTP と Webhook で任意の REST API。Data Store 以外にも OAuth で多くの SaaS を手動トークンなしで接続できます。
Data Store
Data Store は Make 内蔵の key-value ストレージ。中間状態に便利:カウンタ、ID キャッシュ、イベント dedup、実行間の簡易キュー。軽い stateful ロジックなら外部 DB 不要。
エラー処理
各モジュールに error handlers:無視、遅延リトライ、フォールバック分岐。本番では 1 回の API タイムアウトでチェーン全体が静かに止まるリスクを下げます。
テンプレートとチーム
Templates - コミュニティと Make チームの既製シナリオ。Teams で組織内にシナリオ、認証情報、フォルダを共有。Organizations - SSO と集中課金の enterprise 向け。
AI モジュール
OpenAI、Anthropic、Google Gemini など LLM 用モジュールを追加。典型:入站 webhook - GPT でテキスト分類 - カテゴリで Router - 別スプレッドシートへ書き込みまたは顧客返信。
Make vs Zapier と n8n
| 観点 | Make | Zapier | n8n |
|---|---|---|---|
| モデル | SaaS のみ | SaaS のみ | Fair-code、self-host |
| 価格 | $9/月〜、操作(クレジット) | $19.99/月〜、task | self-host 無料;cloud ~€20/月〜 |
| 複雑な分岐 | Router、Iterator、Aggregator | Paths(上位プラン) | IF、Switch、Merge |
| コード | 組み込み functions | 限定的な式 | ノード内 JS/Python |
| データ | Make クラウド | Zapier クラウド | 自サーバー(self-host) |
| 学習コスト | 中、ビジュアルルータ | 単純 zap は低 | 高、self-host に DevOps |
Zapier - 線形の「A なら B」に素早く着手。Make - 多分岐、JSON、コードなしバッチに強い。n8n - self-host、自ハードウェアでの webhook、データ完全管理向け。
Make が向くユーザー
例:
- マーケ・セールス ops - フォームリード - Clearbit/HTTP で enrichment - HubSpot - Slack
- EC - Shopify 注文 - 在庫確認 - 請求 - 顧客メール - 会計 sync
- コンテンツ - RSS - キーワードフィルタ - SNS と Notion 投稿
- サポート - Zendesk チケット - LLM 分類 - 適切チームへルーティング
- DevOps なしの中規模チーム - サーバー管理なしのビジュアル自動化
向かない例:第三者クラウドにデータを置けない、self-host 必須、操作量が多く予算が厳しい - この場合 VPS の n8n の方が安いことが多い。
始め方
最小手順:
- make.com で登録 - 操作上限付き無料枠あり
- シナリオ作成:trigger 選択(例 Webhooks - Custom webhook)
- 処理モジュール - Tools - Set variable または JSON - Parse JSON
- アクション - Slack - Create a message または Google Sheets - Add a row
- Run once、webhook URL にテスト送信、フィールドマッピング確認
- Scheduling 有効化、または realtime trigger 用にシナリオをアクティブのまま
本番:重要モジュールに error handler、有料 API の前に Filter、ダッシュボードで operations 監視。認証情報は退職者の個人アカウントではなく組織に。
ドキュメント:help.make.com。フォーラムとギャラリーのテンプレートでコミュニティも活発。
まとめ
Make はルーティング、バッチ、JSON に強い成熟したクラウドのビジュアル自動化プラットフォームです。シンプルな Zapier と flexible な self-host n8n の中間:線形 zap よりデータフロー制御が多く、自サーバーは不要。
条件・イテレータ・複数 API のチェーンを専任 backend なしで組むなら、構築速度と 1 画面での全体像で Make がよく合います。
よくある質問
Make と Integromat は同じ?
はい。Integromat は 2022 年 Celonis 下で Make に改名。機能は同じ:シナリオ、モジュール、操作。旧リンクは make.com へ移行中。記事や講座の Integromat は現在の Make を指します。
Make の料金は?
Free プランで月間操作数に上限 - 試用には十分。有料は $9/月(Core)程度から、操作数と実行頻度でスケール。モジュール 1 つが通常 1 operation;Iterator は要素数で倍増。拡大前にテスト実行し History で消費を確認。
Make は Zapier より何が優れている?
複雑シナリオで Make が強い:Router、Iterator、Aggregator、ビジュアル JSON マッピング、Data Store。Zapier は初心者向けで「1 trigger - 1 action」が速い。上位 Zapier に Paths ありも、Make のビジュアルモデルは非線形フロー向け設計。単純シナリオの価格はステップと操作次第 - バッチは Make、稀な線形 zap は Zapier が有利なことも。
Make を self-host できる?
いいえ。Make は SaaS のみ。データと実行は Make クラウド。self-host と完全制御なら n8n や自前スクリプト。Make は time-to-market と DevOps 不要をローカル保存より優先する場合に選ばれます。
Make に API キーを保存して安全?
認証情報は暗号化され組織またはアカウントに紐づきます。Teams/Organizations、ロールベースアクセス、認証情報付きシナリオの外部共有禁止、アカウント 2FA、webhook では最初の Filter で署名またはシークレット検証。PII・金融など敏感データは DPA と保存リージョンを社内ポリシーと照合 - Make は処理者として代行します。